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クエン酸回路(TCA回路・クレブス回路)

2010/12/03  カテゴリー/「お助け」用語辞書

1937年にドイツの化学者・医師ハンス・クレブス博士によって解明された、生体内におけるエネルギー発生代謝システムの事で、「クエン酸サイクル(TCAサイクル)」と呼ばれています。

人間が生きるために必要なエネルギーを、効率よく生産する所が、この「クエン酸サイクル」という生産工場です。この研究によって、博士は1953年に、その功績によりノーベル生理学・医学賞を受賞しました。

 

【 ミトコンドリアの模式図 】

d56d451a.jpeg
 





≪参考≫
ミトコンドリア内膜の電子伝達系における、タンパク質複合体Ⅰ~Ⅴの酵素名は次の通りです。 

   別名  酵素名
 複合体Ⅰ   NADHデヒドロゲナーゼ   NADH-補酵素Qレダクターゼ
 複合体Ⅱ   コハク酸デヒドロゲナーゼ   コハク酸-補酵素レダクターゼ
 複合体Ⅲ  シトクロムbc1  補酵素Q-シトクロムcオキシターゼ
 複合体Ⅳ  シトクロムcオキシターゼ   シトクロムオキシターゼ
 複合体Ⅴ     ATPシンターゼ


※ 複合体Ⅰ~Ⅳ はH(プロトン)をマトリックスから膜間スペースに
  汲みだすポンプ。
  複合体Ⅴは膜間スペースからマトリックスへのHの流れを利用して
  ATPを作るポンプ。


それでは、細胞呼吸の代謝系を簡単にまとめてみましょう。

細胞呼吸(ATPが合成される過程)の代謝系は、解糖系、TCA回路(クエン酸回路)、電子伝達系からなります。

「解糖系」
「解糖系」は生体内に存在する化学反応経路の名称で、細胞質基質で酸素を使わない酸化(嫌気呼吸)で、グルコースをピルビン酸などに分解(異化)し、グルコースに含まれる高いエネルギーを生物が使いやすい形に変換してゆくための代謝過程であります。

「TCA回路」
「TCA回路(クエン酸回路)」は解糖系によって産生されたピルビン酸の好気的酸化過程で、発見者の名前を取ってクレブス回路とも呼ばれています。

この回路は効率よくATPを作る好気的代謝系でグルコース1分子当たり、30ATP以上のエネルギーを作ります。

TCA回路の多段階反応のエネルギーの生産の目的は、細胞は一度に放出された全エネルギーを貯蔵出来ないので、各段階において、ATPやNADH1分子のエネルギーを取り出すことが出来るように、小刻みに酸化してゆく方法を用いています。

また、TCA回路によって産生された、NADH、FADH2などの水素受容体を酸化し、酸素に電子を与えて水を生成し、それと共役して、ATP合成酵素(ATPシンターゼ)により(酸化的リン酸化で)ATPを合成(呼吸鎖)する代謝系を電子伝達系と言います。

クエン酸回路のおもな役割は、酸素吸収を伴う電子伝達系(呼吸鎖)とともに働いて炭水化物、脂肪、タンパク質などを最終的に水と炭酸ガス(二酸化炭素)に完全に分解し、生命の働きに必須のエネルギー物質として重要なATP(アデノシン3リン酸)をもっとも効率よく産生することにあります.

嫌気的条件下で筋肉の解糖系によって1分子のグルコース(ブドウ糖)を分解する場合は、2ATPしか産生されないのに対し、TCA回路によって完全に分解する場合は、30ATP以上を産生することができ、TCA回路の方がはるかに効率よくエネルギーを産生出来ます。

但し、TCA回路は酵素による緩慢な多段階の反応経路なので、筋肉などがフル活動時は、TCA回路でのATP産生が間に合わず、もっぱら、解糖系でのエネルギー産生となります。と言うのは、解糖系は反応のステップ数が少ないために、一定時間(短時間)に産生されるATP量が多いためです。

しかし、このことで問題なのは、嫌気条件下ではどうしてもピルビン酸は乳酸の生成に向かってしまうことです。好気的条件下であれば、ピルビン酸はミトコンドリアに入ってアセチルCoAに変換され、クエン酸シンターゼにより、オキサロ酢酸と結合してクエン酸となり、TCA回路に取り込まれます。

また、血液によって運ばれる酸素よって好気的条件がそろうと、乳酸は乳酸脱水素酵素(LDH)の働きによって可逆的に、再びピルビン酸となり、ミトコンドリアに入ってTCA回路で代謝されるようになります・

「電子伝達系」
解糖やクエン酸回路でNADH2、FADH2として捕捉された水素は、ミトコンドリアにおいて、電子のやり取りを行う電子伝達系の一連の酵素系(複合体Ⅰ~Ⅳ)を経て、最終受容体である酸素(O2)と結び付いて水(H2O)になります。

ミトコンドリア内膜の電子伝達系に取り込まれた水素原子はH+(プロトン)とe-(電子)に分離し、H+(プロトン)は膜間スペースに放出され、e-(電子)は複合体Ⅰ~Ⅳへ次々に受け渡されて行き、その時生じるエネルギーを利用してマトリックスから膜間スペースにH+(プロトン)を汲み上げます。(プロトンポンプ)
但し、複合体Ⅱはプロトンポンプには関与せず、複合体Ⅰの働きを促進させるように働いています。

TCA回路の酵素群は殆どがマトリックスに存在していますが、コハク酸デヒドロゲナーゼ(コハク酸脱水素酵素)だけは例外で、内膜の複合体Ⅱとなっています。

このようにして、生じた膜間スペースとマトリックスの間の水素イオンの濃度勾配による化学ポテンシャル(ポテンシャルの大きい相から小さい相への移動が起こる)を利用して、複合体Ⅴでは、ATPシンターゼ(モーター分子:1秒間に100回転以上)を介してADP(アデノシン2リン酸)とPi(リン酸)から酸化的リン酸化でATP(アデノシン3リン酸)を合成します。

 ※この理論は、イギリスのP D .Mitchellによって1961年に提唱され、
  1978年にノーベル化学賞を受賞しました。(化学浸透圧説)

このようにして作られたATPは、速やかに、ミトコンドリア内膜のADP-ATPトランスロケーター(トランスポーター)を通って、ADPと交換に細胞質へと運ばれて行きます。

この全代謝過程での、グルコース1分子あたりのATPの生成量は最大約35~37ATP(38ATPは現在支持されていない)と計算されています。

細胞はこのようにして蓄えられたATPがADPに分離するとき、放出されるエネルギーを効率よく利用しています。

解糖系では1分子のグルコースから10段階の解糖の過程を経て、2分子のピルビン酸を生成し、TCA回路に引き渡します。
TCA回路を介して完全に分解(完全燃焼)され、最終的には炭酸ガスとなって、体外に排出されます。

この代謝システムから、人間の健康についてすこし考えてみましょう。

食事(食餌)で摂取した糖質(炭水化物)を、体内にグリコーゲンとして貯蔵出来る量は、普通の生活をしている人で約300gくらいで、よく鍛えられたスポーツ選手などは500g以上あるといわれています。。
また、エネルギー需要がある時には、糖質(ブドウ糖)は、細胞質で解糖され、ピルビン酸を経て、ミトコンドリア内で、アセチル-CoAに変換されます。
その後、TCA回路と電子伝達系を経て代謝され、ATPが生成されますが、エネルギー需要が少なく、糖質を十分に(過剰に)摂取している時には、好気状態では肝臓や脂肪組織などの細胞質ゾルで、脂肪酸合成が促進され、過剰なカロリーは、中性脂肪として、貯蔵されます。
また、運動時など、エネルギー需要が高い時には、脂肪酸のβ-酸化によってアセチル-CoAが生成され、TCA回路と電子伝達系を経て代謝され、ATPが生成されます。
また、各組織の細胞でも、必要に応じて脂肪酸を合成しています。
取り込まれた糖質の内、解糖系・TCA回路・電子伝達系で代謝されるのは、50%以下であり殆んどの糖質は、脂質や、蛋白質などに変換されます。

人間の食事によって得られた糖質は、消化器系からブドウ糖(グルコース)として取り込まれ、肝臓でグリコーゲンに変換され貯蔵されます。肝臓は必要に応じて、グリコーゲンを再びブドウ糖に変えて、血流を通して全身の細胞に送ります。送られたブドウ糖は酵素の働きでグリコーゲンに合成され、細胞内に貯蔵されます。

グルコースは解糖系で、ヘキソキナーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、ピルビン酸キナーゼにより、ピルビン酸にまで分解されます。

解糖で生成されたピルビン酸からは、ミトコンドリア内(マトリックス)でピルビン酸脱水素酵素によりアセチルCoAが生成されます。

クエン酸回路では大量のNADHとFADHが生成されますが、ミトコンドリアに十分な酸素が供給されないと(嫌気的条件下では)、これらが蓄積してしまい、クエン酸回路の反応は生成物過剰と言うことで停止してしまいます。

その結果、オキサロ酢酸の生成が不足するので、アセチルCoAはクエン酸回路に入れなくなり、それによってピルビン酸は行き場を失い、乳酸を生成する反応に進んでしまいます。更にアセチルCoAは脂肪酸合成へと進んでしまいます。

「コリ回路」及び「乳酸アシドーシス」
乳酸がたまると、pH値が低くなり体液が酸性化します。
激しい運動をしたり、過度なストレスを受けたりすると、細胞が酸素不足の状態になり、同じような現象が起こります。

前述のように、乳酸は好気条件下でTCA回路で代謝されATP産生に向かいますが、代謝されず残存した乳酸は血液の流れに乗って肝臓に運ばれて、乳酸脱水素酵素(乳酸デヒドロゲナーゼ)によってピルビン酸に変換され、その後糖新生によってグルコースが再生されます。(コリ回路

ATPの収支でみると、1回あたりの嫌気呼吸で2分子のATPが生成し、糖新生で6分子のATPが消費されるので、結果4分子のATPの減少となります。このようにコリ回路はエネルギー消費系であり、化学反応の末端にある乳酸は、酵素によってピルビン酸に変換されるほかはなく、特に嫌気的条件下で乳酸アシドーシス(血液が酸性に傾いた状態)を防ぐ重要な役割を担います。

また、筋肉には白筋と赤筋(ミオグロビンが多い)がありますが、特に血行が良くない筋腱移行部付近で発生する乳酸の影響によって、疲労した筋肉と疲労しない筋肉との間の筋収縮の結果、殆ど筋収縮をしない疲労した筋繊維が筋収縮による牽引で、傷ついたり、断裂したりすることがあります。その他、乳酸による、体液のpH変化の影響で痛みが生じたりもします。

更に問題なのは体液が酸性化すれば、細菌やウイルスなどの繁殖の温床となったり、病原菌やウイルスなどに対する抵抗力が弱まり、様々の疾病の原因ともなります。

また、体内脂肪が活性酸素によって酸化され、過酸化脂質になると、新しい細胞が出来る前に古い細胞が死滅するなどの細胞膜(不飽和脂肪酸からなっている)の代謝異常を起こしたりします。その結果、その器官の老化や病気を引き起こします。

「代謝に欠かせない重要なビタミン類」
その他、この細胞呼吸にはビタミン類やミネラル類が非常に重要な働きをしています。
例えば、解糖の過程の10段階目であるホスホエノールピルビン酸からADPへのリン酸基の転移の際には、KMg2+あるいはMn2+が必ず必要ですし、ピルビン酸がアセチルCoAを経て、クエン酸回路に入って代謝されるためには、ピルビン酸デヒドロゲナーゼの補酵素としてビタミンB1が必要です。
また、脂肪酸からアセチルCoAになる(β-酸化)ためには、ビタミンB6が必要であり、プロピオニルCoAをスクシニルCoAに変化させるとき(脂肪とアミノ酸の代謝)にはビタミンB12が必要です。その他、ビタミンB12の不足は悪性貧血を招いたりします。

このような観点から見て、このクエン酸サイクルを活性化する一番の近道は、ビタミン類やミネラル類を有効に摂取しながら、クエン酸回路の入口にあるクエン酸を補給することで、この回路を活性化できることがわかります。

「キレート化」
ちなみに、クエン酸と共にミネラル類を摂取すると、ミネラルがキレート化され、体内に吸収されやすくなります。

クエン酸含有食品(ex梅肉黒酢等)を摂取することで、クエン酸を補給し、このクエン酸サイクルが活性化する(回る)ことによって、ストレスなどによって生じた乳酸やピルビン酸もこのサイクルに入って完全燃焼し、代謝されます。

クエン酸含有食品で日頃のストレスを解消し、いつまでも若々しく元気に過ごしましょう。

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