| 「梅」の効用 | 
2010/09/15 カテゴリー/生活の知恵
	<少し長いかもしれませんが最後まで読んで下さいね!>
	
	梅は古来より東洋において、歴史の様々な場面で取り上げられた貴重な健康自然食品です。
	
	今から約三千年前に書かれた中国の古書「神農本草経」の中にも梅の効用について、「味は酸にして平、主に気を下し熱と煩満を除き、心臓や四肢身体の傷み、半身や皮膚の委縮を治し、青黒い痣や悪質な皮膚を除く」と書かれています。
	
	また、奈良時代には、遣隋使や遣唐使によって多くの医書が日本に伝来し、平安時代にはこれらの医書を基にして、現存する日本最古の医書、「医心方」が当時、鍼医師であった丹波康頼(たんばのやすより)によって書きあげられました。
	この「医心方」の中にも梅の効用が取り上げられています。
	
	現代では、1937年にドイツの化学者・医師ハンス・クレブス博士によって解明された「クエン酸サイクル(クエン酸回路)」が有名です。
	
	人間が生きるために必要なエネルギーを生産する所が、この「クエン酸サイクル」という生産工場です。この研究によって、博士は1953年に、その功績によりノーベル生理学・医学賞を受賞しました。
	
	人間の食事によって得られた栄養素はオキザロ酢酸と結合し、クエン酸となり、順次、cis-アコニット酸→イソクエン酸→オキザロコハク酸→αケトグルタール酸→コハク酸→フマール酸→リンゴ酸→オキザロ酢酸と変化し、その量が徐々に減少していきます。その減少した分だけが燃焼され、熱(エネルギー)や炭酸ガス、水(汗や尿)となります。また、クエン酸サイクルで生じたエネルギーはATP(アデノシン三リン酸)として蓄えられます。
	
	しかし、このクエン酸サイクルがスムーズに機能しないと、疲労物質である乳酸やピルビン酸がどんどん溜まって、身体に不調が生じるようになります。
	
	このクエン酸サイクルを活性化する一番の近道がクエン酸を補給することです。梅肉エキス等を摂取することによって、クエン酸を補給し、このクエン酸サイクルが活性化することによって、乳酸やピルビン酸もこのサイクルに入って燃焼し、エネルギー源として活用されて行きます。
	
	梅の果実は、梅干し、梅肉エキス、梅酢、梅酒などとして、私たちの食生活には欠かせないものとなっています。
	このように、梅の効用は古くから医学的にも認められてきましたが、いくつか列挙すると次のようになります。
	 
	 
	 <土用干し>
	 
	
	 ① 梅干しには抗菌作用があり、外部から侵入してくる病原菌を殺菌し、
	   解毒する作用がある
	 ② 血液を弱アルカリ性に保ち、浄血作用がある
	 ③ 梅に含まれる「ピクリン酸」には肝臓の機能を高める働きがる
	 ④ クエン酸は疲労回復に効果的…疲労物質である乳酸の発生を抑え
	   たり、乳酸の分解を促進する働きがある
	 ⑤ 老化防止に効果的…クエン酸により若返りホルモンである
	   「バロチン」の代謝が活発になる
	 ⑥ 脱臭作用がある…クエン酸、リンゴ酸は魚などの臭いの元である
	   アミン臭を中和除去する働きがある
	 ⑦ 梅に含まれる「カテキン酸」は腸の働きを活発にし、
	   便秘解消に役立つ
	 ⑧ マグネシウム、カルシウムなどのミネラルの吸収を助ける…
	   ミネラル類は体内では不溶性のものが多く吸収されにくいが、梅に
	   含まれる有機酸の下で錯体をを形成、溶解性が向上し腸壁からの
	   ミネラルの吸収率が向上する
	 以上以外にも様々な効用がある梅の果実は私たちの健康維持にとって、これからますます、なくてはならないものとなってくるでしょう。
	
	
 

 
 
 
 
 
 

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